【ニューロフィードバックの秘密】効果が出る人と出ない人の意外な違いとは?

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「集中力が続かない」「いつも緊張している」……そんなお悩みに対して、脳を良い状態に近づける心理療法「ニューロフィードバック」。

当施設でも多くの方にご利用いただいていますが、実はこのニューロフィードバックトレーニング、「ただ受ければ勝手に良くなる」という魔法の杖ではありません。

今回は、ニューロフィードバックでしっかりと効果を出すための「意外な秘訣」について、最新の研究データを交えて分かりやすく解説します。

薬とは違う「自転車の練習」と同じ仕組み

ニューロフィードバックは、脳活動をリアルタイムで測定し、その情報を視覚や聴覚の信号としてご本人に還元することで、脳の自己調整能力を訓練する非侵襲的な手法です。

ニューロフィードバックの最大のポイントは、お薬のように「飲めば勝手に効く」という受動的なものではなく、本質的に「学習プロセス」によるスキルの獲得(自己調整能力の獲得)であるということです。

分かりやすく言えば、「自転車に乗る練習」と似ています。

厳密には自転車の運転は「運動学習」であり、オペラント条件付けをベースとするニューロフィードバックとは学習のメカニズムが異なります。

最初はバランスを取るのが難しくても、何度も練習してコツを掴むと、無意識に乗れるようになりますよね。

しかし、自転車の練習を「無理やり」させることができないように、ニューロフィードバックも外部からご本人の意志を無視して「強要」することは、神経生理学的に不可能です。ご本人の能動的な参加や、内発的な動機づけに完全に依存しています。

ニューロフィードバックは「脳の鏡」

なぜ強要できないのか?

ニューロフィードバックは「鏡」のような役割だからです。

たとえば、自分の頭に寝癖がついていても、鏡を見なければ気づけません。

鏡を見て初めて「あ、ここがハネている」と気づき、なおすことができます。

ニューロフィードバックの画面や音は、まさにこの「脳の鏡」です。

単に、普段は見えない自分の脳波の状態をリアルタイムで映し出してくれます。

しかし、鏡が勝手に寝癖をなおしてくれないのと同じで、映像や音を見るだけで脳が変わるわけではありません

「良い状態にしよう」と鏡(フィードバック)を見ながら、自分自身の内なる感覚(内的感覚の変化)に注意を向ける能動的な姿勢が必要なのです。

「やらされる」より「やりたい」が脳を変える。強制は無意味!

スペイン等で行われた113名を対象とする研究で、非常に興味深いデータがあります。

トレーニングの際、「実験者が一律に指定したゲーム」を報酬として与えられたグループと、「自ら選択した好きな映画や動画」を報酬として与えられたグループを比較しました。

結果はどうだったでしょうか?

なんと、「自ら選択した報酬」で、かつそれに高い価値を感じていたグループのみ、有意な脳波(感覚運動リズム:SMR)の上昇がみられました。

「やらされている勉強」では学習が進まず、「自分からやりたいゲーム」では学習が進むということです。

ご本人が受けたくないのに、周囲が強制的にニューロフィードバックを受けさせても、効果はありません。

学習プロセスにおいて「自己決定(自分で選ぶこと)」の要素が欠如していると、神経可塑性を誘導するためのドーパミン放出をはじめとする報酬系メカニズムが稼働しないため、脳を変化させることはできないのです。

とはいえ、PTSDなどの場合、映画や動画など、刺激的なものを避ける必要があるため、「自分からやりたいゲーム」を選ぶという簡単なものではないのですが。

頑張りすぎは逆効果!?「力み」のパラドックス

さらに面白いパラドックス(逆説)があります。

一般的に、「自分は脳波や身体を思い通りにコントロールできる」という信念が強い人ほど、良い結果を出しそうですすが、研究結果は逆でした。

コントロール信念が強い参加者ほど、脳波を理想の状態にする能力が低いことが判明したのです。

なぜかというと、画面上のフィードバックを意識的な努力によって「力ずくで」操作しようとしてしまうからです。

「絶対に脳波をコントロールしてやる!」と力むと、脳が過剰なエネルギーを消費してしまい、リラックスしながらも集中している理想的な状態を直接的に妨害する「処理の干渉」を引き起こしてしまいます。

水に浮かぶとき、体に力が入ると逆に沈んでしまうのと同じです。

脳波をコントロールする戦略は逆効果になることも

さらに「呼吸」「集中」などの戦略を使って、画面に表示された脳波の状態をコントロールしようとするよりも、「何も考えない」戦略の方が、うまくいくという研究結果もあります。

ニューロフィードバック成功の秘訣とは?

「頑張ってコントロールしようとしてはいけないなら、どうすればいいの?」と疑問に思われたかもしれません。

答えは、ひとつではありません。

  • 「何も考えず、受け入れる」アプローチ。
  • 「一定のリズムになるように呼吸に集中し、変化を受け入れる」アプローチ。
  • 「意識的・強制的なコントロール(戦略)を手放し、自分の身体の感覚(内受容感覚)へただ注意を向ける」アプローチ。画面の映像や音を感じながら、「今、自分はどんな身体の感覚なのか」「どんなリラックス状態なのか」を、マインドフルネスのようにただ静かに観察します。

「コントロールを手放すこと」が、結果として努力を伴わないリラクゼーションとなり、もっとも効果的なニューロフィードバックの学習状態へと脳を導いてくれる可能性が高いといえます。

さらに、ニューロフィードバック後におやつなどの別の報酬を用意しておくというアプローチもあります。

あなたに合ったトレーニングを見つけるために

ニューロフィードバックは、ご自身の「変わりたい」という主体性が最も大切なポイントであり、次に、リラックスした状態で学習をすることです。

「自分にもできるだろうか?」「うちの子は飽きっぽいけれど大丈夫?」 そんな疑問や不安をお持ちの方は、ぜひ一度、初回面談(オンラインまたは対面)をご予約ください。

あなたやあなたのご家族にニューロフィードバックが本当に有効かどうかを丁寧に確認いたします。

さらに、ニューロフィードバックとQEEG専門施設では、QEEG(定量的脳波測定)を用いて客観的なデータに基づくベースラインを設定し適切なプロトコル選定をしています。

一緒に、無理なく「脳の良い状態」を学習していきましょう。

参考文献

Learning to modulate one's own brain activity: the effect of spontaneous mental strategies. Silvia E. Kober et al. 2013

Neurofeedback in ADHD: A qualitative study of strategy use in slow cortical potential training. John Hasslinger et al. 2020

Enhancing the Effects of Neurofeedback Training: The Motivational Value of the Reinforcers. Rubén Pérez-Elvira et al. 2021

Predictors of neurofeedback training outcome: A systematic review. Lydia Anna Weber et al. 2020

この記事を書いた人

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