QEEG(定量的脳波)とは?QEEGでわかること、わからないこと

この記事は約 8 分で読めます。

QEEGとはQuantitative electroencephalographyのことで、日本語にすると定量的脳波と訳されます。

QEEG、qEEGといった表記をされることもありますが、同じものです。また、「脳マッピング」「ブレインマッピング(Brain Mapping)」と呼ばれることもあり、ブレインマッピングを行うことから「定量的脳波測定」とすることもあります。

QEEG定量的脳波とは?

脳波センサーを取り付ける配置法のひとつである国際10-20法に基づいて、頭皮上に設置された19個以上の電極から得られる脳波電気信号を元データ(絶対電位)とし、データを物理的、数学的特性に従い、ノイズ処理、FFT(高速フーリエ変換)周波数解析、Wavelet時間周波数解析などを行い、瞬間絶対パワー、相対パワー、パワー比、コヒーレンス値、位相差値、振幅非対称値などのデータに変換します。

測定データを規範データベースと比較し、どの程度データベースと差異があるか統計学的に確認するのがQEEGです。

QEEGで使用する規範データベース

QEEGで使用する規範データベースは、数種類ありFDA(アメリカ食品医薬品局)に登録されているもの、登録されていないものがあります。

QEEGで一般的に使用されるデータベースは下記の4つです。

  • NeuroGuide(Applied Neuroscience, Inc)FDA登録済み
  • qEEG-Pro(EEGprofessionals, B.V.)FDA登録済み
  • BrainDX(BrainDX,   L.L.C.)
  • HBI(HBImed AG)

NeuroGuide

NeuroGuideは2歳~82歳の625人の安静状態の閉眼、開眼時の脳波記録を基に作成されたデータベースです。

qEEG-Pro

qEEG-Proは46個のDSMの基準に直接基づいた292の質問(それぞれ0から8までの評価)で構成された質問紙を用意。

4歳~82歳の1,696人に対して質問紙と閉眼時の脳波を測定。

内88人の脳波記録にてんかん様活動を認められたため除外。

さらに脳波記録からアーチファクト(ノイズ)除去後を126人の脳波記録が1分以内であったため除外した1,482人の閉眼時脳波データが得られた。

4歳~82歳の1,364人に対して質問紙と開眼時の脳波を測定。

内21人の脳波記録にてんかん様活動を認められたため除外、さらに脳波記録からアーチファクト(ノイズ)除去後を112人の脳波記録が1分以内であったため除外、1,231人の開眼時脳波データが得られた。

以上のように1,482人の閉眼時脳波記録と、1,231人の開眼時脳波記録を基にデータベースが作成されました。

BrainDX

BrainDXは成人154人、子供310人のサンプルから作成されたデータベースです。

HBI

HBIは、7歳~17歳の300人、18歳~60歳の500人、61歳以上の200人の脳波測定に基づいて作成されたデータベースです。

QEEGデータベースの比較

4つの主要なQEEGデータベース(qEEG-Pro、Neuroguide、BrainDX、HBI)を比較した研究がISNRConference2015で発表されました。

データベースの比較研究によると、「デルタ、シータ、アルファについては非常に似ている、HBIは他のデータベースと比較し臨床的関連性が限られているため、非常に極端なZスコアとなっていますが、修正すると相関が増加(相関が増加すると一致具合が増す)する。ベータについては、差異がある。NeuroGuideとHBIは成人の年齢範囲で不連続性を持っているようである。BrainDxはベータのZスコアを過小評価しているようである」ということでした。

QEEGの結果の見方にはZスコアを知っておく必要がある

QEEGの結果は、国際10-20法におけるC4において24~28Hzの絶対パワーのZスコアが+3.5や、20HzにおいてF3の相対パワーがZスコアで-3.0というようにZスコアで示されるものが多いので、Zスコアを知っておく必要があります。

「Zスコア」とは統計学の用語で「Z値」と呼ばれるものです。

「Zスコア」に似た用語に「偏差値」があります。大学や高校の入試模擬試験で合格圏内かどうかを確認する「偏差値」です。

「偏差値」は「Tスコア」ともいい、50を基準として、標準偏差 (SD) が10になるように変換した値です。

一方、「Zスコア」は0を基準として、標準偏差 (SD) が1になるように変換した値で、プラスとマイナスがあります。

Zスコアも偏差値も平均からどれくらいの差があるかを表した数値です。

例えば、偏差値50(Tスコア50)ならZスコアは0、偏差値60(Tスコア60)ならZスコア1、偏差値20(Tスコア20)ならZスコア-3となります。

正規分布
正規分布

QEEGの結果の見方はデータベースなどで違う

QEEGの結果はデータベースや使うソフトによって、見方が異なります。

2Dブレインマップでグラデーション表示としているもの、国際10-20法の場所に表示するものなどがあります。

Zスコアの表現はプラス側に行くに従って赤色、0が緑色、マイナス側が青色というケースが多いです。

jewel_database
jewelデータベースの出力例 https://eegjewel.com/ より引用
qeegpro_database
qEEG-Proデータベース サンプルより引用

病院で行う一般的な脳波検査とQEEGの違い

通常、病院で行う脳波検査は「てんかんの診断」「睡眠検査」「睡眠時無呼吸検査」の3つの目的で行われます。てんかんの診断では、てんかん波と呼ばれる異常な波形を発見する目的で、睡眠検査では睡眠ステージを評価する目的で実施されます。

一方、QEEGは少ないニューロフィードバックトレーニングで良好な転帰を得たい、局在的な特異性を探し、心理テストと同じように精神科医による診断の参考にする目的で実施されます。

また、一般的な病院で行う脳波検査は過呼吸賦活(大きな呼吸をする)、強い光を点滅させる閃光刺激を伴った測定がありますが、QEEG検査は安静状態の閉眼と開眼の状態、稀に読書をしている状態での測定といった違いがあります。

QEEGでできること

QEEGは規範となるデータベースと比較することで、以下のことができます。

  • QEEGは、測定した脳波データから電極を配置していない位置まで、拡張して推定値を出すことが可能です。
  • LORETAやsLORETAを用いることで、脳内部の部位における状態を推定し、fMRIのような立体脳地図に表現することができます。
  • 脳機能ネットワークである、デフォルトネットワーク、背側注意ネットワーク、感情調整ネットワーク、メモリーネットワークなどの状態を表現することができます。
  • 左右脳半球における脳波状態の対称性を確認できます。
  • ADHD、統合失調症、うつ病、強迫性障害などのバイオマーカーを出すことができます。
  • ニューロフィードバックなど介入前後の変化を定量的に測定し、効果を評価することができます。

QEEGだけで正常の判断や診断が難しい理由

心理テストだけで医師は病気の診断をしません。QEEGも同様です。

また、Zスコアが±3を超えていても、何の問題もなく健康に過ごされている方もいらっしゃいますし、Zスコアが±1以内であっても苦しんでいる方もいらっしゃいます。

さらに、たまたま睡眠不足でQEEGを取ると、結果がズレてしまうことが多いですし、安定剤などお薬の影響も出てきます。

また「何をもって正常なのか」「プラグマティズム的に作ったデータベースが本当に正常な値として使っていいのか」「個性はどう捉えるのか」といった哲学的な思考が必要とされるのも難しくする理由でしょう。

QEEG検査が怪しいとされてしまう原因のひとつにデータの信頼性

当たり前のことですが、信頼性のある脳波データで分析しなければ、怪しい結果となってしまいます。

正確に脳波を測定するには、下記のことに気を付ける必要があります。

  • 頭皮と電極のインピーダンス
  • 瞬きによるノイズ(アーチファクト)
  • 目の動きによるノイズ
  • 筋緊張によるノイズ
  • 心電によるノイズ
  • ケーブルのふらつきによるノイズ
  • 電磁波による干渉
  • 圧迫による干渉
  • 近くで大型車が走ったことによる干渉
  • 近くでモーターが回転したことによる干渉

開眼時の測定では、瞬きや目の動きがノイズ(アーチファクト)になりますので、ノイズ(アーチファクト)を除外する必要があります。

言葉では簡単ですが、実際にQEEGをしてみるとノイズ処理はかなり大変です。測定で必要な長さが3分間であっても、綺麗な脳波データを取得するために20~30分かかることもあります。

次のクライアント様がお待ちになっているなど、時間的余裕がないこともあるかもしれません。

正確なデータで分析したいのなら、QEEGは時間に余裕を持つ必要があるのです。

QEEGのZスコアを良くしたい

QEEGのZスコアやバイオマーカーを改善したいときに多用されるのがニューロフィードバックです。

QEEGの結果には、ニューロフィードバックの推奨プロトコル(プログラム)もあるため、効果的なニューロフィードバックを行うことができます。

また、ニューロフィードバックでどのような変化があったのか、定期的にQEEGを行うことで客観的に変化を把握することが可能です。

当施設では、QEEG、ニューロフィードバックを実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。紹介状はあってもいいですし、難しければ不要です。

また、精神的な問題だけではなく、受験や試合などピークパフォーマンスアップの目的でも承っております。

よくある質問

  • Q.
    QEEGとは何ですか?
    A.
    QEEGとはQuantitative electroencephalographyのことで、日本語にすると定量的脳波となります。19個以上の電極から得られた脳波を用いて、データベースと比較し、どの程度データベースと差異があるか統計学的に確認することができます。データベースと比較することでADHDなどのバイオマーカーを出すことも可能です。
  • Q.
    QEEGの結果は変わりますか?
    A.
    ニューロフィードバックなどでQEEGの結果を変えることができます。なお、睡眠不足などの状態でQEEGを受けると正しいデータではなくなりますのでご注意ください。
  • Q.
    QEEGはどのくらい時間がかかりますか?
    A.
    短ければ、30分くらいで終了します。ノイズ(アーチファクト)が多いなどの問題がある場合は、1時間程度かかる場合もあります。時間に余裕を持ってQEEGを受けるようにしましょう。

この記事を書いた人

東京都新宿区四谷にあるニューロフィードバック・QEEG専門施設
QEEG
初回面談
(オンライン)
予約
ページ上部へ