マインドフルネスで雑念が消えない理由とは?トラウマと脳(DMN)の関係とニューロフィードバックの相乗効果

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ニューロフィードバック
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当施設には、トラウマや不安のケアの一環として、日常的にマインドフルネス瞑想に取り組まれている方が多くいらっしゃいます。

しかし、「うまく集中できる日と、できない日の差が激しい」「雑念ばかり湧いてきて、”今、ここ”の瞬間にとどまるのがどうしても難しい」といったお声をよく耳にします。

うまくマインドフルネスができないと、「自分のやり方が間違っているのではないか」「自分には向いていないのではないか」とご自身を責めてしまうこともあるかもしれません。

しかし、うまくいかないのは、決して皆様の能力や努力が足りないわけではありません。

神経科学の研究によると、こうした状態には、私たちの脳の特定のネットワークの働きが深く関与していると示唆されています。

本記事では、心理学と脳科学(神経科学)の双方の視点から、マインドフルネスがうまくいかない時の脳内メカニズムと、脳のネットワークに直接働きかける「ニューロフィードバック」との相乗効果について解説します。

トラウマや強いストレスが脳のネットワークに与える影響

トラウマや強いストレスを抱えている時、あるいは雑念が止まらない時、私たちの脳では一体何が起きているのでしょうか。

雑念や反芻(はんすう)思考を生み出す「デフォルトモードネットワーク(DMN)」とは

鍵になるのが、「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と呼ばれる脳の回路です。

DMNとは、私たちが特定の作業をしておらず、ぼんやりしている安静時に活発になる脳のネットワークのことです。

スタンフォード大学などの研究グループによるメタアナリシス研究(Hamilton et al., 2015)では、うつ病や抑うつ状態と「反芻(はんすう)思考」について、興味深い知見が示されています。

反芻思考とは、過去の嫌な記憶や未来への不安などを、自分の意思とは関係なく何度も何度も繰り返し考えてしまう状態を指します。

Hamilton et al., 2015 の研究によると、DMNが過剰に活動している状態になると、反芻思考の傾向が強まることが示唆されています。

マインドフルネス瞑想は、意識を「今の呼吸」や「体の感覚」に向けることで、過剰になったDMNの活動を鎮めてくれる非常に優れたアプローチであると考えられています。

実際、マインドフルネスの経験がDMNの活動低下と結びついていることを示した研究(Brewer et al., 2011)も存在します。

恐怖と不安を司る「扁桃体」の過剰反応

しかし、トラウマの影響が強かったり、日々のストレスが非常に大きかったりすると、マインドフルネスだけでDMNを鎮めることが難しくなる場合があります。

DMNを鎮めることができなくなる背景には、「扁桃体(へんとうたい)」と呼ばれる脳の部位が関わっていると考えられています。

扁桃体は、アーモンドほどの大きさの器官で、恐怖や不安といった感情の処理に関係しています。

トラウマなどの強いストレスに晒され続けると、扁桃体が過剰に反応する状態(過覚醒)に陥りやすいと考えられています。つまり、脳が常に「危険が迫っている」と誤認識し、アラームを鳴らし続けているような状態です。

扁桃体が過剰に反応している状況下では、ご自身の意識の力だけで「今、ここ」に集中して心を落ち着かせようとしても、どうしても限界が生じやすくなると言われています。

マインドフルネスの経験が「ニューロフィードバック」の学習効果を高める理由

ご自身の意識だけでコントロールすることが難しい過覚醒やDMNの過剰活動に対して、脳波を活用して脳の自己調整能力を高める「ニューロフィードバック」を組み合わせる方法があります。

脳の自己調整機能を育むニューロフィードバックとは

ニューロフィードバックとは、頭皮にセンサーを取り付け、脳波の活動状態をリアルタイムで計測し、脳波が望ましい状態(より良い状態)になった時に、映像や音などでフィードバック(報酬)を与える心理療法の一つです

ニューロフィードバックは、機械を使って強制的に脳を操作したり、電気的な刺激を与えたりするものではありません。

脳波がたまたま良い状態になった瞬間に「音」や「映像が動く」といった形で脳に報酬を与えることで、脳自身が「どのような状態が自分にとってより良いのか」を無意識のうちに学習していくプロセスです。

ニューロフィードバックによる報酬の提示により、ご自身の持つ脳の自己調整能力を高めていきます。

「気づく力(メタ認知)」がもたらす強力な相乗効果

非常に重要なのが、マインドフルネスのご経験がある方は、ニューロフィードバックにおいて非常に高い学習効果を示す傾向があるということです。

マインドフルネスを実践されていると、「今、自分の意識がどこに向いているか」「あ、今雑念が湧いてきたな」と、ご自身の状態を客観的に観察して気づく力が高まります。心理学では「メタ認知」と呼びます。

メタ認知が高まっていると、ニューロフィードバックの画面や音で「今、良い状態になっている」という情報(報酬)を受け取った際、ご自身の内的な感覚の変化と結びつけることがとてもスムーズになります。

つまり、マインドフルネスで培われた「気づく力」があることで、ニューロフィードバックによる脳の学習がより効果的に進むという、素晴らしい相乗効果が生まれるのです。

マインドフルネスがうまくできずに悩んだ日々があったとしても、培われた経験は決して無駄にはなりません。むしろプラスになるのです。

心と脳、双方からのアプローチで穏やかな日常へ

もし現在、トラウマや抑うつ状態、強い不安を抱えており、マインドフルネスを実践していても「どうしても過去のフラッシュバックに引っ張られてしまう」「行き詰まり感を感じている」という場合は、決してご自身を責めないでください。

脳のネットワークの過剰な反応が原因である可能性が高いからです。

客観的なデータ(QEEG)に基づく個別化されたトレーニング

当施設では、ニューロフィードバックのトレーニングを開始する前に、ニューロフィードバックにおけるベースラインとトレーニング内容を決めるためのQEEGを実施しています。

QEEGを用いることで、現在のご自身の脳のネットワーク(DMNなど)がどのような状態にあるのかを客観的なデータとして把握することができます。

QEEGデータに基づき、「どの部位をどのようにトレーニングすればより良い状態に近づくのか」を分析し、お一人おひとりに合わせたパーソナライズされたトレーニング計画をご提案しています。

薬物治療や心理療法に加えて、脳のネットワークに直接働きかけるニューロフィードバックを組み合わせることで、改善の助けになる可能性があります。

心と脳、その両方からのアプローチが、皆さまの穏やかな日常を取り戻す一助となれば幸いです。

初回面談(ご相談)について

「心理療法やカウンセリングだけでは状態が停滞していると感じる」

「自分に合ったペースで、脳の自己調整機能を根本から高めていきたい」

ぜひ、当施設の初回面談をご利用ください。専門家が丁寧にお話を伺い、客観的なデータに基づいた適切なアプローチをご案内いたします。

参考論文

Hamilton, J. P., et al. (2015). Depressive rumination, the default-mode network, and the dark matter of clinical neuroscience. Biological psychiatry, 78(4), 224-230.

Brewer, J. A., et al. (2011). Meditation experience is associated with differences in default mode network activity and connectivity. Proceedings of the National Academy of Sciences, 108(50), 20254-20259.

この記事を書いた人

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