系統的脱感作法(けいとうてきだつかんさほう)

系統的脱感作法は、恐怖症や不安症に用いられる技法です。
レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)がベースとなる技法です。
レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)については、下記をご覧ください。
手順
不安階層表を作る
不安の程度を序列化するために、不安階層表を用いられることがあります。
不安階層表を用いることで、不安の程度が低いものから、順番に行っていくことが可能になります。
不安階層表の作り方
最も不安を感じる場面を特定します。
まったく不安を感じない場面を特定します。
最も不安を感じる場面に類似する場面を、すべて特定します。
特定した場面を一列に書き出します。
最も不安を感じる場面を100点、まったく不安を感じない場面を0点または10点とし、一つひとつの場面を点数化します。
私の場合は、クライエントに仮に点数をつけていただき、場面を入れ替えながら、点数化していきます。また、全部の点数がつけ終わったら、再度確認してクライエントがしっくりくるようにしています。
不安階層表の例
100点 90点 80点 70点 60点 50点 40点 30点 20点 10点 | 船・飛行機に乗る 新幹線に乗る 美容院に行く 歯科で治療を受ける 電車(急行)に乗る 電車(各駅停車)に乗る 路線バスに乗る 自家用車で渋滞に巻き込まれる 観覧車に乗る 坂道を歩く |
ちなみに、「渋滞に巻き込まれる」と「渋滞に参加する」のように言葉を変えると点数が変わることがあります。
不安階層表の点数が低い順から行う
実際に恐怖や不安を感じる場所に行っておこなう方法と、恐怖や不安を感じる場所をイメージしていただく方法があります。
恐怖反応や不安反応を引き起こさない程度の弱い状態の刺激から始めます。
不安階層表を作成した場合は、点数の低い順から、行っていきます。
恐怖や不安を感じると、クライエントは筋緊張します。
クライエントは、筋緊張していることを自覚します。
筋弛緩法(きんしかんほう)などを用いて、筋緊張を緩めます。
恐怖や不安で生じる反応(ここでは筋緊張)と、反対の反応(ここでは筋弛緩)をすると、恐怖や不安になる刺激と、恐怖や不安の結びつきは弱くなります。
神経の相反する働きが同時に起こることを逆制止といいます。
不安の反対感情(拮抗感情)の例
- 愛情や拒絶、賞賛などの自己主張をする(主張反応)
- 性行動
- 筋肉を緩める(筋弛緩法)
クライエントが平静な状態を保てるようにしながら、徐々に恐怖や不安を生じる刺激を強めていきます。
最終的には、最も恐怖や反応を感じる場面においても、対処可能であることを体験します。
問題点
心理的身体的に疲弊したクライエントに、恐怖や不安をリアルにイメージしてもらうことが困難なことがあります。
クライエントが上手にイメージできないと効果が出にくい問題や、恐怖場面の内容によって効果に差が出てしまうことがあります。
また、恐怖や不安を感じる場所に、セラピストと一緒に行く方法もありますが、コストが高くなり時間を要する欠点もあります。
参考文献
公認心理師必須テキスト改訂第2版
下村晴彦著・神村栄一著 認知行動療法 放送大学