脳の記憶は、過去・現在・未来は混ざっている
トラウマの克服や治療、改善において、過去の扱いが重要になるといわれています。
今回はトラウマを克服、改善するために必要な過去への向き合い方についてのポイントをお伝えします。
目次
脳は、過去も現在も未来も区別しない
多くの方は、「過去・現在・未来と区別された記憶がある」とイメージしているかもしれません。
しかし、脳の中では、過去も現在も未来も区別されていません。
「脳には時間の感覚がない」といってもよいでしょう。
神経学者 ジュラルド・エデルマン博士
記憶は脳の一部に貯蔵されているのではなく、思い出す瞬間に、毎回、再構築される。脳内で起こっていることは、シノプスとシノプスが結合し記憶の回路(神経回路)が作られているだけ。その神経回路に、電気信号が伝わることで『思い出す』わけだけど、それはその瞬間瞬間に、新たな現実を創り出すことと変わらない。
小説家 レフ・トルストイ
過去も未来も存在しない。あるのは現在というこの瞬間だけだ。
トラウマを克服するために「過去は関係ない」とすると空回りする
「トラウマを克服・改善するのに、過去、現在、未来を区別してイメージして、過去に引きずられない思考や受け止め方や感じ方をすればいい」としても、トラウマの克服はできません。
脳の中では、過去・現在・未来といった区分をしていないからです。
例えば、「○○は過去のことだから、関係ない」と考えた瞬間、脳内では「今起きていること」になってしまいます。
「過去のトラウマは、今ではないから関係ない」と考えても、考えた瞬間、脳内では「今ではないと、今イメージしてトラウマにアクセス」してしまっています。
少し混乱するかもしれませんが、今この瞬間に考えたこと、頭の中でイメージしたことは、今この瞬間に頭の中で出来事になっています。
余計難しくなったかもしれませんが、落ち着いて考えてみてください。
場合によっては「過去と未来は違う」「今と過去は違う」と思うことも大事
一方で、パニック発作が起きているときなど、現在と過去を区別したり、今と過去を区別したりすることで役に立つこともあります。
例えば、パニック発作で苦しいとき「過去は過去。今ではない」と考えるとご自身の状態を冷静に見つめて、パニック発作が和らぐこともあります。
トラウマは過去のものだけど、現在のものでもある
トラウマを過去のものだと割り切って克服しようとしても、トラウマは現在進行形でもあるから、トラウマは消えてくれません。
症状にもよりますが、一般的にトラウマを克服するには、次のように自分自身に問いかける必要があります。
- トラウマから学べることを感じる
- トラウマへの感謝
- トラウマを認めてあげる
- トラウマが何を伝えたいのか
トラウマはありがたい存在
トラウマで苦しんでいる方からすると、トラウマなんて不要だ! トラウマをありがたい存在だなんて嘘だ! と叫びたくなるのもわかります。
でも、これだけは覚えておいてください。
トラウマはあなたを守るために作られた。
トラウマで守られてきたことを振り返って感じることで、一歩前進します。
トラウマの克服、改善には様々な方法があります。
ひとつの方法でうまくいかなかったといって諦めるのではなく、他の方法を模索することも大切です。
ニューロフィードバックはトラウマを改善していくひとつの方法です。
もし、トラウマで悩んでいるのでしたら、受けてみることをおすすめします。