鬱やトラウマなどの改善に役立つ〜価値観のワーク〜
鬱病やトラウマ、PTSD、不安、パニックなどの改善に役立つのが「価値観のワーク」です。
価値観のワークはご自身だけ(セルフ)で行うことができますので、ぜひやってみてください。
目次
ビリーフ(思い込み・決めつけ)とは?
「価値観のワーク」をする前に、ビリーフについて知っておく必要があります。
下記のような考えのことをビリーフといいます。
- 中学のとき、〇〇さんからイジメられたから、勉強できなかった
- 不登校になったのは、〇〇のせい
- このような考えは不健全だ
思い込みや常識、マナー、決めつけと言い換えても良いでしょう。
ごく当たり前のように思っていることです。
ビリーフの前提になるのが、価値観・判断基準
先ほどご説明したビリーフの前提になるのが、価値観や判断基準(クライテリア)というものです。
例えば、「中学のとき、〇〇さんからイジメられたから、勉強できなかった」というビリーフを持っている方は、次のような価値観や判断基準を持っています。
- 中学で大事なのは、勉強
- 中学でダメなことは、イジメ
- イジメはいじめる人がダメ
上のような価値観と判断基準を持っていると、次のような考えになりがちです。
- 中学のとき勉強できなくて、今ひきこもりになっているのは、〇〇さんがイジメたのが原因
ひきこもりの原因を〇〇さんとしていますので、ひきこもり状態から脱出することが難しくなります。
もし、次のような価値観や判断基準だったとしたら、どうでしょうか?
- 勉強はいつでもできる
- イジメられた僕にも原因がある
- 中学は過去のことで事実は変えられない
「中学のときイジメられ勉強できなかった。けど、今から勉強すればいいし、イジメられた原因を探り自分の強みにできたらいいよね」というように、考え方やビリーフも変わってきます。
カンのいいあなたなら、おわかりでしょう。
価値観が変われば、前向き・建設的になり鬱病やトラウマ、PTSD、不安、パニックなどを改善するための行動ができるようになるのです。
価値観は変わらないと信じている人もいますが、病気や事故、人生のイベントなどで変わることは多々あります。
「価値観は変わらない」とするのも価値観のひとつですね。
価値観や判断基準は人によって異なりますのでご注意ください。
また、価値観や判断基準は、環境などで変化します。
価値観のワーク
まずは、簡単で重要な価値観を探ろう
まずは、人生で大切な価値観から探っていきましょう。
価値観の探り方は簡単です。次の問いかけをするだけ。
『人生において、大切なことは何でしょうか?』
すると、色々と答えが出てくると思います。
出てきた答えを「名詞」でまとめましょう。
単語で出てきたら、単語でOKです。
例えば、「本が10冊もあれば、あれば家にいられるし」という答えなら、
このような答えであれば、「本」や「家」が価値観となります。「家にひきこもりたい」という思いもありそうです。
10個くらい価値観を出すと良いでしょう。
本来、価値観に良いも悪いもありません。
○○という価値観が良い、△△という価値観は悪いと決めるのも、価値観です。
価値観を知る
『人生において、大切なことは何でしょうか?』で出てきた価値観を書き出して見ましょう。
「私はこんな価値観を持って生きているんだ」「私はこのように判断していたんだ」というのがわかればOKです。
繰り返しますが、価値観に良いも悪いもありません。ただ価値観・判断基準を知るだけです。
日常生活では知ることがないので、持っている価値観を知るだけで、自然と変容していきます。
次に、出てきた価値観に関連することを探ろう
『人生において、大切なことは何でしょうか?』で出てきた価値観に関連することを探っても良いでしょう。
例えば、「お金」と出てきたら、『お金において、大切なことな何でしょうか?』と問いかけましょう。
これもまた、知るだけで十分です。
注意:価値観を変えようとしない
「〇〇という価値観を変えよう」としないでください。
変えようとすると、自分の考えに自信がなくなって行動できなくなりますから。
変えようしなくても、自分に都合が悪い価値観・価値基準(クライテリア)は自然と変わっていきます。
まとめ
自分の持っている価値観を知ると、『どうして、そう思って、行動しているのか?』という本質が理解できるようになるからです。
治りたくない病気が治らないように。
治ってしまうと、自分に不都合があるから、治らないようにしてしまうように。
「改善したくない理由や価値観(価値基準)」があると、どんな方法でも改善できません。
一時的には良くなることもあるでしょう。
しかし、「私は病気だから働かなくていい。ひきこもっていればいい」というビリーフを抱かせる価値観・価値基準(クライテリア)を持っている限り、変わりません。
逆に、最初に自分の持っている人生において大切な価値観・価値基準(クライテリア)を知る。
そして、自分の価値観・価値基準(クライテリア)を良い悪いで判断せずに、受け入れる。
すると、自分に都合が悪い価値観・価値基準(クライテリア)は自然と変わっていきます。
当施設でも、今回ご紹介した「価値観のワーク」を行っておりますので、「難しい」「価値観がわからない」などの感じがありましたら、お気軽にご連絡ください。
ちなみに、この価値観のワークを行ったところ、クライアントの顔色が悪くなり、微妙な空気になることもあります。
「治りたい」「治したい」と言っているのに、価値観が真逆。信じられないかもしれませんが、臨床では、よくある話です。