投稿日:2020/03/31

鬱病の種類(タイプ)

うつ病の種類
心理学
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鬱病には、様々な種類(タイプ)が存在します。また、鬱病と似て非なる双極性障害などが存在します。

目次

大うつ病性障害

大(だい)うつ病性障害とは、一般的にいわれるうつ病のことです。

また、大(だい)うつ病性障害は、単極性うつ病、大(だい)うつ病、臨床的うつ病と呼ばれることもあります。

抑うつ(よくうつ)な状態と、興味・喜びが無い状態などが2週間以上継続しているときに、疑われます。

大うつ病性障害という言葉から、重症なうつ病だと誤解されていることがありますが違います。

もともとの意味は「major depression」という言葉からきており、majorには「主要な」という意味もあります。

主要なうつ病という意味なので、主要ではないうつ病(大うつ病性障害に該当しないうつ病)も存在していますし、重い大うつ病性障害、軽めの大うつ病性障害がありますので、ご注意ください。

抑うつ状態とは、気分が落ち込んでいる状態

「ゆううつ」「気分が落ち込んでいる」症状のことを抑うつ気分といいます。

抑うつ気分が強い状態のことを、抑うつ状態といいます。

誰でも 「(嫌なことがあって)落ち込んでいる」気分になりますが、時間が経過したり、気分転換をしたりすると、「落ち込んでゆううつな状態」から、元気な状態へと戻ります。

一方、大うつ病性障害の場合は、ほぼ一日中、落ち込んだままです。

興味・喜びが無い状態とは、つまらない状態

仕事、趣味などに興味を持てなかったり、やりがいを感じられなかったりしているような状態のことです。

感情が麻痺した状態といってもいいでしょう。

例えば、下記のような状態です

  • 以前、楽しめていたガンプラ作りが、楽しめなくなった。
  • 以前、毎週のように通っていたゴルフに、関心がなくなってしまった。
  • 趣味って何だっけ?

体重の変化、過眠・不眠、気力の減退など

抑うつ状態や、興味・喜びの無い状態の他、下記のものがあります。

  • 体重の増加・体重の減少
  • 不眠または過眠
  • 活動の焦燥や停止
  • 易疲労性、または気力の減退
  • 過剰(不適切)な罪責感(自分を責めたくなる気持ち)、無価値観
  • 思考力や集中力の減退
  • 死についての反復思考

※わかりやすさを優先しているため、詳細を省いてあります。

大うつ病性障害には、単一と反復がある

大うつ病性障害は、「単一エピソード」と「反復性」の2つに分けることができます。

初めて大うつ病性障害になったときを、大うつ病性障害(単一エピソード)、2回目以降は、大うつ病性障害(反復性)です。

短期うつ病・小うつ病

大うつ病性障害(うつ病)の基準に満たない状態のとき、短期うつ病や小うつ病と区分することがあります。

抑うつ(よくうつ)な状態と、興味・喜びが無い状態などが2週間以上継続しないときや、抑うつ状態だけど、他の症状が無い状態のときです。

非定型うつ病(新型うつ病・現代型うつ病)

神経症性うつ病、新型うつ病、現代型うつ病と呼ばれることもあるのが、非定型うつ病です。

20~30代の女性に多いとされています。

また、季節型うつ病という季節型感情障害(SAD)も非定型うつ病とされています。

典型的なうつ病と大きく異なる点がありますから、注意が必要です。

大うつ病性障害とのちがい

大うつ病性障害(うつ病)と大きく違うのは、主に下記の点です。

大うつ病性障害(うつ病)

  • 自分を責める
  • いつも気分が沈んでいる
  • 朝から午前が低調
  • 休日も低調
  • どこでも低調
  • 食欲不振
  • 不眠

※一般的な症状です

非定型うつ病

  • 他者に対する攻撃性
  • 気分の浮き沈みが大きい
  • 夕方が低調
  • 休日は元気
  • 仕事すると低調
  • 過食
  • 過眠

※一般的な症状です

大うつ病性障害(うつ病)であれば、今まで楽しかったガンプラが楽しめなくなりますが、非定型うつ病なら、ガンプラは楽しいけど、仕事はうつ状態となります。

季節型うつ病

季節型うつ病は、季節型感情障害(SAD)とも呼ばれる非定型うつ病のひとつです。

季節型うつ病は、冬季うつ病と夏季うつ病にわけられ、特定の季節に発生し、精神的不調、食欲低下、不安、不眠などの鬱症状が半年程度のサイクルで毎年繰り返します。

産後うつ病

産後うつ病に似ている症状にマタニティブルーがあります。

出産後、不安、気分が沈むマタニティブルー

マタニティブルーとは、出産後から1週間ごろまでに、不安や、悲しさ、気分が沈むなどの状態になることです。

多くの場合、2週間以内に治まりますから、心配する必要はありません。

マタニティブルーよりも深刻な産後うつ

産後うつ病はマタニティブルーよりも深刻な気分の変動です。

産後うつ病になると症状が数週間から数カ月間続き、日常生活に支障が出ます。

約1~2割の女性に発症し、極めてまれですが、産後うつ病よりもさらに重度である産後精神病が発生する場合もあります。

産後うつ病の主な症状

産後うつ病の主な症状として下記のものがあります。

  • 極度の悲しみ
  • 頻繁に泣く
  • 気分の変動
  • 怒りやすくなる
  • 気分が落ち込む
  • イライラ
  • 疲れやすくなる
  • 眠れない
  • 食欲の変化
  • 性への関心が無くなる
  • マイナス思考
  • 何も楽しめない
  • 不安

産後うつ病の原因はあることも無いことも

産後うつ病の原因が、明らかなこともあれば、不明なこともあります。

産後うつの原因として考えられるものとして、一般的に下記があげられています。

  • マタニティブルー
  • うつ病の既往歴
  • 経口避妊薬の服用中に抑うつや悲しみを感じた場合
  • 近親者のうつ病
  • 分娩後のホルモン(エストロゲン、プロゲステロンなど)濃度の急激な変化
  • 夫婦間の関係
  • サポート不足
  • 早産や先天性異常など

産後うつ病により夫がうつ病になることも

産後うつ病により、夫がうつ病になるケースもあります。

産後うつ病の予防

産後うつ病の予防として考えられるのは、完璧を目指さないでおく、話し相手をつくる、自分にご褒美を与えるなどがあります。

鬱病ではない双極性障害

双極性障害は、躁鬱病と呼ばれることもあるため、鬱病の一種だと誤解されていることがあります。

抑うつ状態のときには病院に行きますが、躁状態のときは「絶好調」「気分がいい」と自覚し病院に行かないために、双極性障害なのに鬱病と診断されてしまうこともあります。

また、病院での診察時に躁状態のことを伝えない、忘れている、自覚していないなどの理由で、双極性障害だとわからなくしているケースもあるようです。

躁状態と鬱状態の両方がある双極Ⅰ型

躁状態と鬱状態の両方がある双極Ⅰ型

軽い躁状態と鬱状態の両方がある双極Ⅱ型

軽い躁状態と鬱状態の両方がある双極Ⅱ型

統合失調症の抑うつ状態のこともある

統合失調症でも抑うつ状態になるため、本当は統合失調症なのに、鬱病だと思われてしまうケースもあるとのことです。

身体の病気で、抑うつ状態になっているケースも

抑うつ状態になるのは、大うつ病性障害(うつ病)、双極性障害(躁鬱病)、統合失調症だけではありません。

身体の病気(身体疾患)でも、抑うつ状態になることがあります。

コルチゾール過剰・低下

コルチゾールとは、副腎皮質で作られる(分泌される)ステロイドホルモンのひとつです。

糖質、タンパク質、脂質の代謝に対する調整機能、免疫機能調整作用、骨代謝に対する作用、水・電解質・血圧調整作用、神経・精神系に対する作用、ストレス応答ホルモンとしての作用などがあります。

コルチゾール分泌過剰のとき、抑うつ・不安・不眠などの症状

コルチゾールの分泌が過剰のとき(多いとき)、抑うつ・不安・不眠・多幸などの症状が約20%の方にあらわれます。

慢性のコルチゾール分泌過剰による疾患の総称が、クッシング症候群です。

比較的まれな疾患で40~50代女性に多い(男女比1:4)です。

コルチゾール分泌低下のとき、食欲低下や疲れやすい

コルチゾール分泌が低下すると、食欲が低下し、疲れやすく(易疲労感)なります。

代表的な疾患として、アジソン病、下垂体前葉機能低下症、先天性副腎皮質過形成があります。

高カルシウム血症でも、鬱状態に

高カルシウム血症(高Ca血症)になると、細胞外液のCa2+の濃度が上昇し、神経細胞膜が安定して脱分極が起こりにくくなるため、抑うつ状態、情緒不安定、易疲労感(疲れやすい)を感じることがあります。

副甲状腺の病気やがん(悪性腫瘍)、ビタミンDの過剰、副腎不全などで高カルシウム血症になります。

全身性エリテマトーデス(SLE)

15~40歳の女性に多い(男女比1:8~1:9)疾患です。

遺伝因子が背景にあり、様々な環境因子(ウイルス、紫外線、ホルモン、薬剤など)が誘因となって発症する自己免疫疾患です。

皮膚や粘膜、関節、腎臓、肺、心臓などの他、鬱状態、躁鬱状態、幻覚、妄想、けいれんの症状がみられます。

全身性エリテマトーデス(SLE)は、寛解と増悪を繰り返す慢性疾患のため、仕事が続けられない、感染症にかかりやすい、日光に過敏、ステロイドによる容貌の変化などで悩んでいるケースが多くみられることから、心理カウンセリングなどの心的サポートが重要な疾患です。

全身性エリテマトーデスによる精神・神経症状のことをNPSLEと呼びます。

NPSLE

NPSLEは中枢神経ループスと末梢神経症状の2つに分けられ、中枢神経ループスは精神症状と神経症状に分けられます。

NPSLEの精神症状には下記のものがあります。

  • 気分障害(鬱状態、躁鬱状態など)
  • 認知障害
  • 不安障害
  • 幻覚・妄想(錯乱)
  • 精神病性症状

NPSLEの神経症状には下記のものがあります。

  • 頭痛(片頭痛)
  • けいれん
  • 脳血管障害
  • 運動障害(舞踏病)
  • 脊髄障害
  • 脱髄性症候群
  • 無菌性髄膜炎

NPSLEの末梢神経症状には下記のものがあります。

  • 多発性神経炎
  • 脳神経障害
  • (多発性)単神経炎
  • 自律神経障害
  • 神経叢炎
  • 重症筋無力症
  • ギランバレー症候群

NPSLEの方の脳波はデルタ波(0.5~3Hz)シータ波(3~7Hz)が多くなるとの報告があります。

認知症でも抑うつ状態になることがある

脳の認知機能が脳の器質異常により持続的に低下して、日常生活に支障をきたす状態が認知症です。

加齢による物忘れと認知症は異なります。

鬱病でも「認知機能が衰えた」などと自覚し、認知症と似た症状となることもあります(うつ病性仮性認知症)。

鬱病と認知症を合併することもありますし、認知症の症状として抑うつ状態になっていることもあります。

まとめ

いかがだったでしょうか?

うつ病といっても、様々な種類があり仮説や検証段階のものもあるため、すべてを網羅することはできません。

しかしながら、どのようなうつ病でも、抑うつ状態でも、精神的なサポートが必要なのは明白です。

当施設でも、精神的なサポートを行っておりますので、お気軽にご相談くださいませ。

この記事を書いた人

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