聴覚の注意(情報の選択)
心理学において、注意には複数の意味があります。
注意の意味のひとつに「情報の選択」があります。
混雑状態でも相手の声を聴き分けられる
電車の中やビジネス交流会、パーティなど混雑状態でも、話相手の声を聴き分けられます。
これをカクテルパーティ現象、カクテルパーティ効果といいます。
カクテルパーティ現象は、注意による情報選択(選択的注意)を反映した現象です。
ただし、オンラインで音声が重複すると聞き取りができないことから、オンラインではカクテルパーティ現象がみられないように感じます。
また、言葉の理解には、相手の声だけではなく、口の動きや顔の表情からの情報も参照しているのも、オンラインでカクテルパーティ現象がみられない理由のひとつだと思います。
選択的注意のメカニズム
選択的注意のメカニズムとして、数モデル考えられています。
ブロードベントのフィルターモデル(初期選択モデル)
ブロードベント Broadbent, D.のフィルターモデルは、比較的早い段階で情報の選択が行われるため、初期選択モデルともいわれます。
フィルターモデルでは、下記のように考えます。
音の高さ、音の強さ、音が発せられる位置などの物理特性を感覚登録器ですべて処理されます。
次に、フィルターで情報が選択されます。
フィルターモデルのフィルターは、選択されない情報はすべてシャットアウトします。
そして、意味の処理が行われ、理解、反応することができます。
その後の研究で、フィルターモデルでは説明できない現象が報告され、減衰モデルが提唱されました。
減衰モデル
上記のフィルターモデルは、フィルターで選択されない情報はすべてシャットアウトするモデルですが、減衰モデルは選択されない情報は弱まって伝わるとしています。
後期選択モデル
すべての入力情報は、意味レベルまで処理され、反応の段階で選択されるというモデルが後期選択モデルです。
参考文献
公認心理師必須テキスト改訂第2版
高野陽太郎著 認知心理学 放送大学