ADHDの診断基準 IDC-10 国際疾病分類第10版
こちらに掲載したADHDの診断基準は、WHO世界保健機関が発行している「IDC-10 国際疾病分類第10版」を一部加筆し引用したものです。
実際の診断は医師が行いますので、該当していると思っていても当てはまらない場合もあれば、該当しないと思っていてもADHDだと診断されることもあります。
自己判断せず、医師の診断を受けるようにしてください。
なお、実際の診断は「IDC-10 国際疾病分類第10版」ではなく、アメリカ精神医学会が発行している「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」を用いることが多いです。
どちらかというとIDCは統計で使うことが多く、診断はDSM-5を使うことが一般的です。
G1. 不注意
次の症状のうち6項目以上が6か月間以上持続し、その程度は不適応を起こすほどで、その小児の発達段階と不釣り合いであること。
- 学校の勉強・仕事・そのほかの活動において、細かく注意を払えないことが多く、うっかりミスが多い。
- 作業や遊戯の活動に注意集中を維持できないことが多い。
- 自分にいわれたことを聞いていない様子のことが多い。
- しばしば指示に従えない。 あるいは学業・雑用・作業場での仕事を完遂することができない(犯行のつもりとか指示を理解できないためではない)。
- 課題や作業の段取りが下手なことが多い。
- 宿題のように精神的な集中力を必要とする課題を避けたり、ひどく嫌う。
- 学校の宿題・鉛筆・本・おもちゃ・道具など、特定の勉強や活動に必要なものを無くすことが多い。
- 外部からの刺激で容易に注意が離れてしまうことが多い。
- 日常の活動で物忘れをしがちである。
G2. 過活動
【ADD(ADHD不注意優勢型)では、過活動の項目が該当しません】
次の症状のうち3項目以上が、6か月以上継続し、その程度は不適応を起こすほどで、その小児の発達段階と不釣合いであること。
- 座っていて手足をもぞもぞさせたり、身体をくねくねさせることがしばしばある。
- 教室内で、または着席しているべきほかの状況で席を離れる。
- そうすべきではない場面で、ひどく走り回ったりよじ登ったりする
- 遊びの間、過度に騒ぎがちで、レジャー活動に静かに集中することが難しい。
- 感情な動きすぎのパターンは持続的で、社会的な状況や要請によっても実質的に変わることはない。
G3. 衝動性
次の症状のうち1項目以上が 6か月間以上持続し、その程度は不適応を起こすほどで、その小児の発達段階と不釣り合いであること。
- 質問が終わらないうちに、出し抜けに答えてしまうことがよくある。
- 列に並んで待ったり、ゲームや集団の場で順番を待てないことがよくある。
- 他人を阻止したり邪魔したりすることがよくある(例えば、他人の会話やゲームに割り込む)。
- 社会的に遠慮すべきところで、配慮なく過剰にしゃべる。
G4. 発症は7歳以前であること。
※DSM-5では「症状のうちいくつかが12歳になる前から」となっています。
G5. 広汎性
この基準は、複数の場面で満たされること。
例えば、不注意と過活動の組み合わせが家庭と学校の両方で、あるいは学校とそれ以外の場面(診察室など)で観察される。
(いくつかの場面でみられるという証拠として、通常複数の情報源が必要である。例えば、教室での行動については、親からの情報だけでは十分とはいえない)
G6.
G1-G3 の症状は、臨床的に明らかな苦痛を引き起たり、あるいは社会的・学業上・仕事面での機能障害を引き起こすほどであること。
G7.
この障害は広汎性発達障害、躁病エピソード、うつ病エピソード、または不安障害の診断基準を満たさないこと。
(引用:WHO世界保健機関|ICD-10精神および行動の障害-DCR研究用診断基準|医学書院)
(参考:原著:American Psychiatric Association|日本語版用語監修:日本精神神経学会|DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引|医学書院)
(参考:神尾陽子編集|神経発達症群、食行動障害および摂食障害群、排泄症群、秩序破壊的・衝動制御・素行症群、自殺関連(DSM-5を読み解く-伝統的精神病理、DSM-IV、ICD-10をふまえた新時代の精神科診断)|中山書店)