情動:emotionと感情:feeling
一般的には、情動と感情は同じ意味合いとして使われることが多いですが、分けて考える必要が出てくることもあります。
目次
英和辞典でのemotionとfeeling
英和辞典によるとemotionは
(心身の動揺を伴うような)強い感情、感激、感動、(喜怒哀楽の)感情、(理性・意志に対して)感情、情緒
英和辞典によるとfeelingは
感覚、触感、知覚、感じ、印象、予感、意見、(喜怒哀楽などのさまざまな)感情、気持ち、(個人間などで生じる)感情
とされるように同じものとして扱われているようです。
しかし、同じにしてしまうと困ってしまうことが出てきます。
The limbic system (Figure 15.8) is thought to be the seat of emotion even though the right cerebral hemisphere is also involved in processing emotions and feelings.
Getting Started With EEG Neurofeedback p169
~~~ emotions and feelings と書かれていますが、「感情と感情」という意味ではありません。
「情動と感情」という意味で、情動と感情を明確に分けています。
社会心理学、特に社会的認知研究では、感情と情動は違うもの
感情は主に情動と気分の2つに分けられ、情動は「怒り、恐怖、喜び」など持続時間が短く、強度が強く、感情を引き起こした原因が比較的明確なもの。気分は比較的長く持続し、強度が弱く、感情を引き起こした原因が比較的不明瞭なものを指します。
ただし、「デカルトの誤り」でソマティック・マーカー仮説を提示されたアントニオ・ダマシオのいう感情と情動は上記と少し意味合いが異なります。
自己意識感情のようにemotionを感情とすることもある
さらにややこしいのが、自己意識感情:self-conscious emotions のようにemotionを感情と訳すこともあります。
しかし、感情は情動を含むものと考えれば、何らおかしくありません。
ちなみに名詞のaffectも情動
専門用語にはなりますが、affectを名詞として使うと「情動」という意味になります。
affectを動詞として使うと「影響を及ぼす」となります。
effectと似ているのでご注意!発音でも最初の母音だけの違い…
まとめ
英語の使い方としては、emotionは強い感覚を伴う感情=情動のこと、feelingは感情一般のことを指します。
emotion、情動は、喜び、うれしい、怒りのように強い感覚のある意味合いが強い場合に用いられますので、どのように相手に感情を伝えたいのかで、emotionとfeelingを使い分けることになります。
心理学的には、楽しいと感じているときに楽しいニュースを目にしやすくなる気分一致効果や、ネガティブなときは分析的でシステマティックな情報処理をしやすいなど、感情により考え方や行動が左右されることがわかっています。