ニューロフィードバックで頭に電気は流れない理由
ニューロフィードバックの際、頭皮にセンサーをつけるため次のようなご質問をいただくことがあります。
- 何か流れないの?
- 電気は流れないの?
- 何かが流れていそうで不安
結論:電気は、ほぼ流れない
結論からお伝えすると、ニューロフィードバックで頭皮につけるセンサーは、単に電圧を測定しているだけで、何か(電気)が流れることはありません。
電気は、ほぼ流れないという理由について理論的にご説明したいと思います。
センサーは導電性の金属片にコードをつけたもの
一般的にニューロフィードバックで使用するセンサーは、電気を通す素材である金、銀、錫などに被覆電線をつけただけのものです。
センサーと何だか凄いものに感じたり見えたり聞こえたりしますが、実は単純です。
単なるコードですので、センサーではなくコードという場合もあります。
センサーの作り方
ホームセンターや電気屋さんで電線(コード)を購入します。
電子・通信機器用ビニル電線 KV0.3SQあたりで問題ありません。
金または銀、錫製の素材を、厚さ1mm、外径10mm程度の円柱形のような形に加工します。
コードの片方を半田付けなどで固定します。
コードのもう片方は、アンプに接続できるようにします。
これで完成です。
加工する手間を考えると、市販品を購入するのがベターです。
上記でご案内した形状とは異なりますが、実物の写真です。
左側が焼結塩化銀、右側が金メッキです。
脳波は、電圧を測定している
脳波は電圧として測定します。
上記でお伝えしたセンサーというかコード(電線)を使って、電圧計で測定するわけです。
電圧計と聞くと、「理想的な電圧計の抵抗は無限大で、電流が0になる。並列に接続。」と頭をよぎった方もいらっしゃるかと思います。
実際には、電圧計を無限大の抵抗にはできないので、ほんの僅か電流が流れます。
ニューロフィードバックで使用する装置は、電圧計とは呼ばずに差動増幅器と呼び、微細な電圧を増幅させています。
差動増幅器のしくみについては、別の記事でご案内したいと思います。
話を戻して、ニューロフィードバック用の差動増幅器のインピーダンス(抵抗)は直流時で10GΩ(ギガオーム)程度です。
一般的な脳波の振幅はpeak to peakで20μV(マイクロボルト)であり、筋電が入ると100μVを超えます。
安全をみて、直流100μVとして考えてみます。
オームの法則
直流のとき
電圧=電流x抵抗
交流のとき
電圧=電流xインピーダンス
計算してみよう
オームの法則から
100x10-6=10x109x電流
電流=100x10-6/10x109=10x10-15=0.000 000 000 000 01 アンペア=10フェムトアンペア
となりますので、電流は流れないといっても過言ではありません。
誤差の範囲といってもいいかもしれません。
まとめ
オームの法則をつかって電流値を推定してみたところ、ニューロフィードバックでは、電流はほぼ流れない、極々僅かしか流れないという結果になりました。
安心してニューロフィードバックを受けていただけるかと思います。