ジャーナリング:心の傷(トラウマ)を癒すパワフルなツール

ニューロフィードバックセラピストとして、私は皆さんの心が持つ驚くべき回復力を日々目の当たりにしています。
そして、回復力を引き出すための強力なツールの一つが、ジャーナリング(書くこと)です。
特にトラウマや依存症と向き合う皆さんにとって、ジャーナリングは感情を整理し、内面を深く理解するための助けとなるでしょう。
ご自身では気がついていない、忘れている、隠されている心の傷(トラウマ)もありますので、多くの方に役立つツールです。
ジャーナリングを始める前にすること
ジャーナリングは強力なツールで、書くことの長期的な利点はわかっていますが、トラウマとなった出来事について書くと、最初は当然、つらい考えや感情、苦痛が生まれます。
したがって、ジャーナリングによる苦痛をどのように管理するかについて、ジャーナリングを始める前に計画する必要があります。
書き終えた後に、苦痛をどのように乗り越えるか、事前に計画を立てておくことが非常に重要です。
信頼できる人に話す、深呼吸をする、好きな音楽を聴く、温かい飲み物を飲むなど、あなたにとって効果的な対処法を準備しておくことが大切です。
また、「ピート・ウォーカー著、複雑性PTSD 生き残ることから生き抜くことへ @星和書店」の「第16章 自助のためのツール」が役立つでしょう。
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ジャーナリングのステップ
ジャーナリングは、単なる日記ではありません。
ジャーナリングは意識的に自分の内面と向き合い、思考や感情を言葉にすることで、心のプロセスを活性化させる行為です。
- 静かな時間と、気が散らない場所を見つけましょう。
ジャーナリングは、自分自身と向き合うための大切な時間です。静かで落ち着ける場所を見つけ、邪魔が入らない環境を整えましょう。スマートフォンは通知をオフにするか、手の届かない場所に置くことをおすすめします。 - 数分間、トラウマ的な出来事や依存症が自分自身や人生にどのような影響を与えたかを考えてみましょう。
いきなり書き始めるのではなく、まずは自分の心を落ち着かせ、これから向き合うテーマについて軽く思考を巡らせる時間を取りましょう。何が最も心に引っかかっているのか、どんな感情が湧き上がってくるのか、意識を向けてみてください。 - あなたが経験したトラウマ的な出来事について、あなたの最も深い考えや感情について書き始めます。
いよいよ書き始める時間です。ここでは、漢字や文法、文字の形は一切気にせず、心に浮かんだことすべてを紙にぶつけましょう。頭の中にある考えや感情をそのまま書き出すことに集中してください。 - 一度、書き終わったら、書いたものを読み返し、自分の気持ちに注意を払います。書いた結果、自分の考えや感情に変化があるか注意してください。
書き終えたら、一度立ち止まって、書いた内容を読み返してみましょう。書く前と後で、自分の気持ちにどのような変化があったでしょうか?感情が少し落ち着いたように感じたり、新たな気づきがあったりするかもしれません。
ジャーナリングをより効果的にするためのヒント
より深いレベルで感情と向き合い、ジャーナリングの効果を最大限に引き出すために、いくつかヒントがあります。
- 書くときは、漢字や文法などを気にせず、自分の考えや感情をすべて書き出すことに集中しましょう。
これは非常に重要です。完璧な文章を書こうとすると、思考の流れが妨げられます。
大切なのは、あなたの内面にあるものをすべて紙に出すことです。 - できるだけ描写的に書くようにしましょう。
例えば、自分の感情(悲しみや不安など)を表現するときは、その感情に関連する考えや、それらの感情が身体にどのように感じられたか(「心臓がドキドキした」や「筋肉がとても緊張した」など)を書きましょう。
描写的に書くことで、自分の感情や考えに対する意識が高まり、より明確に理解できるようになります。
感情だけでなく、それに伴う身体感覚にも意識を向けてみましょう。
記憶が行動(B)、情動(A)、感覚(S)、知識(K)の4つの側面で保存されるというBASKモデル(Braun, 1988)にも通じる考え方です。
例えば、「悲しい」という感情だけでなく、「胸が締め付けられるように感じた」「涙が止まらなかった」など、より具体的に描写することで、感情との繋がりを深め、自身の反応パターンを理解する手助けになります。
トラウマサバイバーの中には、出来事の「知識(K)」はあっても、出来事に伴う「情動(A)」や「感覚(S)」が抑圧されているためにPTSDの症状に苦しみ続けている方がいます。
描写的に書くことは、これらの抑圧された側面にも光を当てるきっかけとなるでしょう。 - この対処法を用いて自分の考えや感情がどのように変化したかを確認できるように、書いたものを保存しておくと良いでしょう。
ただし、他人に見られるのが心配な場合は、安全に捨てられる方法を見つけてください。
書いたものを後から読み返すことで、時間の経過とともに自分の感情や思考がどのように変化していったかを確認できます。
自己成長の記録となり、回復の証となります。もし他に見られたくない場合は、シュレッダーにかけるなど、安全に処分する方法を検討してください。 - まず、毎日書く時間を確保することが重要かもしれません。
ただし、ストレスの多いことが起こったときはいつでも、表現力豊かな文章を使用することもできます。
健康的な対処レパートリーに追加することは、優れた対処戦略になる可能性があります。
ジャーナリングは、毎日短時間でも続けることで効果を発揮します。
また、予期せぬストレスの多い出来事があった時に、感情を整理するための緊急的な対処法としても非常に有効です。
健康的な対処法の選択肢の一つとして、あなたの生活に取り入れてみてください。
ジャーナリングは、あなたの内なる世界を探求し、癒しへの道を開くための強力なツールです。
ジャーナリングのプロセスを通じて、あなたが自身の感情をより深く理解し、心の平穏を見つけることができるよう、心から願っています。