ADHDでお悩みの方へ:ニューロフィードバックという選択肢

ADHD(注意欠陥・多動性障害)と診断された方、あるいは「グレーゾーン」と言われ、日々の生活で集中力の維持や衝動性のコントロールに悩んでいらっしゃる方へ。
もしあなたが、薬に頼らず、より根本的な改善を目指したいと考えているなら、「ニューロフィードバック」が新たな希望となるかもしれません。
はじめまして。ニューロフィードバックとQEEG専門施設のワタナベです。
私は公認心理師として、そしてニューロフィードバックの専門家として、多くの方の脳の健康と心の平穏をサポートしています。
この記事では、ニューロフィードバックがどのようにあなたのADHD症状にアプローチできるのか、具体的な情報をお届けします。
目次
ADHDの症状と向き合う中で
- 「うっかりミスが多い」
- 「やるべきことに集中できない」
- 「つい衝動的に行動してしまう」
ADHDの症状は、仕事や学習、人間関係など、様々な場面で困難をもたらすことがあります。
ご自身を責めたり、周りから理解されないと感じて、つらい思いをされている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ADHDは脳の特性であり、決してあなたの努力不足ではありません。そして、ADHDの特性にアプローチする有効な方法がニューロフィードバックなのです。
ニューロフィードバックとは?脳の特性に働きかけるトレーニング
ニューロフィードバックは、脳波をリアルタイムで測定し、その情報を本人にフィードバックすることで、脳が自ら望ましい状態へと学習していく「脳のトレーニング」です。
薬のように外部から物質を取り入れるのではなく、ご自身の脳の力を引き出すため、副作用の心配がほとんどないのも特徴です。
ADHDの場合、特定の脳波のバランスが乱れていることが指摘されています。
例えば、集中を司る脳波(ベータ波など)の活動が低い、あるいは落ち着きを阻害する脳波(シータ波など)の活動が高いといった傾向が見られます。
一般的にシータ波は瞑想や睡眠時に活動が高くなりますが、目を開けていてもシータ波の活動が活発なため、シータ波活動を抑えるために身体を動かして覚醒させようとするため、シータ波が落ち着きを阻害します。
ニューロフィードバックでは、これらの脳波を「見える化」し、理想的な脳波パターンへと調整していくことを目指します。
具体的には、脳波を計測し、その脳波の状態が、目の前のパソコン画面の映像や音(例えば、画面が明るくなる、パズルが完成するなど)に反映されます。
集中力が上がると映像がスムーズに進み、注意散漫になると映像が止まる、といった具合です。このフィードバックを通じて、無意識のうちに脳は「どうすれば集中できるか」「どうすれば落ち着けるか」を学習していきます。
論文が示すニューロフィードバックの有効性
ニューロフィードバックは、ADHDへの介入法として世界中で研究が進められています。私たちが参考にしているいくつかの重要な論文をご紹介しましょう。
2014年のSteinerらの研究:学校でのトレーニングがもたらす持続的な改善
Steiner, N. J., Frenette, E. C., Rene, K. M., Brennan, R. T., & Perrin, E. C. (2014). In-School Neurofeedback Training for ADHD: Sustained Improvements From a Randomized Control Trial. Pediatrics, 133(3), 483-492.
この研究では、ADHDと診断された子どもたちを対象に、学校内でニューロフィードバックトレーニングを行った結果が報告されています。
ランダム化比較試験という信頼性の高い手法を用いており、ニューロフィードバックを受けたグループでは、対照グループと比較して、不注意や多動性・衝動性の症状に有意な改善が見られました。
さらに注目すべきは、その効果がトレーニング終了後も持続したという点です。これは、ニューロフィードバックが一時的な症状の緩和だけでなく、脳の根本的な学習を促し、長期的な改善に繋がる可能性を示唆しています。
学校という日常生活の場で行われたことで、より実践的な効果が期待できることが分かります。
2012年のArnsらのメタアナリシス:高い効果量を示すニューロフィードバック
Arns, M., de Ridder, S., Strehl, U., Breteler, M., & Coenen, A. (2012). Efficacy of Neurofeedback Treatment in ADHD: The effects on Inattention, Impulsivity and Hyperactivity: A meta-analysis. Journal of Neurotherapy, 16(4), 1-19.
この論文は、これまでに発表されたADHDに対するニューロフィードバック研究を網羅的に分析した「メタアナリシス」と呼ばれるものです。複数の研究結果を統合することで、より確かなエビデンスを導き出すことができます。
このメタアナリシスでは、ニューロフィードバックが不注意と衝動性に対して「大きな効果量(Large Effect Size)」を、多動性に対して「中程度の効果量(Medium Effect Size)」を示すことが示されました。
特に不注意と衝動性に対する効果の大きさは、ニューロフィードバックがこれらの症状に非常に有効であることを強く裏付けています。
(※補足:効果量とは、治療や介入の効果の大きさを示す統計的な指標です。効果量が大きいほど、その介入が効果的であると言えます。)
これらの論文は、ニューロフィードバックが単なる対症療法ではなく、ADHDの核となる症状に働きかけ、持続的な改善をもたらす可能性を強く示唆しています。
ニューロフィードバックがあなたの生活にもたらす変化
ニューロフィードバックは、以下のような変化をもたらす可能性があります。
- 集中力の向上: 課題や仕事に長時間取り組めるようになり、効率がアップする。
- 衝動性のコントロール: 衝動的な発言や行動が減り、より落ち着いて判断できるようになる。
- 多動性の軽減: そわそわしたり、じっとしていられない感覚が和らぐ。
- 感情の安定: イライラや不安感が減り、心の状態が穏やかになる。
- 自信の向上: 成功体験を積み重ねることで、自己肯定感が高まる。
もちろん、効果には個人差がありますが、多くのクライアント様がニューロフィードバックを通じて、日々の生活における困難を克服し、より自分らしく、充実した毎日を送れるようになっています。
初回面談で一歩踏み出しましょう
もし、あなたがADHDの症状に悩んでおり、ニューロフィードバックに興味を持たれたなら、まずは一度、初回面談にお越しください。
初回面談では、あなたの現在の症状やこれまでの経緯、そしてニューロフィードバックに期待することなどを詳しくお伺いします。私たちは、クライアント様ご自身の意向を最も尊重し、ご希望されない療法を無理に提案したり、それらを受けないとニューロフィードバックが受けられないといったことは一切ございませんのでご安心ください。
その上で、ニューロフィードバックの具体的な進め方や期待できる効果、回数の目安などについて、丁寧にご説明いたします。ご質問や不安な点にも、ていねいにお答えしますのでご安心ください。
私たちは、あなたの「変わりたい」という気持ちを全力でサポートします。
脳のトレーニングを通じて、より快適で豊かな生活を送るための一歩を、私たちと一緒に踏み出してみませんか?
ご予約は以下の予約システムより承っております。空き状況をご確認いただき、ご都合の良い日時をお選びください。

あなたの新しい一歩を心よりお待ちしております。
よくある質問
- Q.ニューロフィードバックは誰でも受けられますか?A.ADHDの症状でお悩みの方であれば、基本的にはどなたでも受けていただけます。ただし、詳細な問診を行い、ニューロフィードバックが適切かどうかを判断させていただきます。疾患や服薬状況によっては、事前に主治医にご相談いただく場合もございます。
- Q.何回くらいのセッションが必要ですか?A.症状の程度や個人の状態により異なりますが、一般的には効果を実感いただくまでに一定の回数が必要です。多くのケースで、週に1〜2回の頻度で15回〜30回程度のセッションを継続することをお勧めしています。初回面談時に詳しくご説明いたします。
- Q.子どもでも受けられますか?A.はい、子どもさんにも有効なトレーニングです。特に、集中力の維持が難しい、多動性があるといったお子様の場合、ゲーム感覚で取り組めるため、楽しく継続できることが多いです。親御さんには、お子様の脳波の変化やトレーニングの進捗状況を分かりやすくお伝えします。
- Q.薬との併用は可能ですか?A.はい、可能です。現在お薬を服用されている場合でも、ニューロフィードバックを併用することで、より良い効果が期待できることがあります。ただし、お薬の調整については、必ず主治医とご相談ください。私たちは医療行為を行いませんので、服薬に関する指示を出すことはございません。
- Q.ニューロフィードバックは痛いですか?A.いいえ、痛みは全くありません。頭皮に電極を装着しますが、皮膚に刺激を与えることはありませんので、ご安心ください。リラックスして受けていただけるトレーニングです。
- Q.オンラインで受けることはできますか?A.はい、オンラインでニューロフィードバックを受けることは可能です。実際に多くの方がオンラインでニューロフィードバックを受けております。なお、ニューロフィードバックの機材と脳波を正確に測定するための練習が必要です。