【子供のADHD】薬なしでの改善方法5選|家庭でできることと専門的アプローチ

目次
はじめに:お子さんの将来を想うからこそ。「薬以外の選択肢」を考えている保護者の方へ
「うちの子、少し落ち着きがないかもしれない…」
「授業中に集中するのが苦手みたい…」
お子さんの様子を見て、ADHD(注意欠如・多動症)の特性かもしれないと感じたとき、保護者の方は様々な思いが巡ってくるでしょう。
特に、お子さんの大切な将来を想うからこそ、「できれば薬には頼りたくない」「副作用が心配…」と考えるお気持ちは、とても自然なことです。
本当にこのままでいいのだろうか、何かできることはないだろうか、と一人で悩んでいませんか?
どうか、ご安心ください。ADHDのサポートは、薬物療法だけが選択肢ではありません。
この記事では、薬を使わずにADHDの特性を改善していくための具体的な方法を「①家庭でできること」「②専門的なアプローチ」に分けて、合計5つご紹介します。
この記事を読み終える頃には、お子さんのために今日から何ができるのか、より根本的な改善のためにどのような道があるのかが明確になっているはずです。
ぜひ、お子さんに合ったサポートを見つけるための第一歩として、最後までお読みください。
改善方法の前に:なぜADHDの特性が現れるの?脳の「司令塔」との関係
具体的な改善方法を知る前に、まず「なぜADHDの特性が現れるのか」を少しだけ知っておくと、今後のアプローチが選びやすくなります。
ADHDの特性は、本人の性格や、しつけの問題ではありません。
その背景には、脳機能の特性があると言われています。
私たちの脳には、注意を向けたり、行動をコントロールしたり、感情を調整したりする「司令塔」のような役割を持つ部分があります。これを専門的には「前頭前野(ぜんとうぜんや)」と呼びます。
ADHDの特性を持つお子さんの場合、この「司令塔」の働きが、少しだけマイペースだったり、うまく機能しづらかったりすることがあります。
例えるなら、交通整理が少し苦手な交通整理員のようなものです。たくさんの車(情報)がやってくると、どれを先に行かせればいいか混乱してしまい、渋滞(注意散漫)や衝突(衝動的な行動)が起きてしまうのです。
つまり、やみくもに行動を注意するのではなく、この「司令塔」の働きをサポートし、うまく機能するようにトレーニングしていくことが、特性の根本的な改善に繋がっていくのです。
まずは家庭で取り組める改善方法3選
専門機関に相談する前に、まずはご家庭で試せる日々の工夫をご紹介します。これらは、お子さんが過ごしやすい環境を整え、脳の働きを安定させるための大切な土台となります。
1. 環境調整:脳への刺激を減らし、集中できる環境を作る
脳の司令塔が交通整理をしやすいように、まずは情報という「車の数」を減らしてあげることが有効です。
脳に入る刺激をコントロールし、集中しやすい環境を整えましょう。
- 勉強机の上をシンプルに 机の上には、今使っている(必要な)教科書とノート、筆記用具だけを置きます。今必要のない教科書や筆箱、おもちゃ、漫画など、注意が逸れるものは見えない場所にしまいましょう。
- 物の定位置を決める(ラベリング) 「どこに何があるか」が分からなくなると、探すことにエネルギーを使って疲れてしまいます。おもちゃ箱、文房具の引き出しなどに写真やイラストでラベルを貼り、誰でも分かるようにしておくと、「あれどこ?」が格段に減ります。
- スケジュールを「見える化」する 「朝起きたら、顔を洗って、着替えて、朝ごはん」といった1日の流れを、イラストや写真で壁に貼っておきましょう。また、進捗にあわせてシールを貼る、磁石を使って、次にやることをわかりやすくする方法もおすすめです。次に何をすべきかが一目でわかるため、見通しが立ち、安心して行動できます。
- 指示は「短く」「1つずつ」伝える 「お風呂に入る前におもちゃを片付けて、明日の準備もしなさい」といった複数の指示は、脳が混乱する原因になります。まずは「おもちゃを箱に入れてね」と1つだけ伝え、できたら褒めて、次の指示を出すようにしましょう。
2. 食事療法:脳の働きを妨げる要因を取り除き、必要な栄養を摂る
日々の食事は、私たちの身体だけでなく、脳の働きにも直接影響を与えます。以下の視点で、お子さんの食事を見直してみましょう。
※注意点: これから紹介することは、あくまで一般的な改善アプローチです。お子さん一人ひとりの体質によって最適な食事は異なります。「これを食べれば治る」というものではなく、まずはお子さんの状態を注意深く観察するための「視点」として参考にしてください。
具体的なチェックポイント:
- 【最優先】アレルギーの原因となる食品を食べていないか? すぐに症状が出るアレルギーだけでなく、数時間~数日後に症状が現れる「遅延型フードアレルギー」が、集中力の低下や気分のムラに関わっている可能性も指摘されています。気づかないうちに特定の食品が脳の炎症を引き起こしているかもしれません。特定の食品(例:乳製品、小麦グルテン、卵など)を食べた後に、様子(かゆくなっていないか、過度に興奮していないか、お通じ)に変化がないか、注意深く観察してみましょう。
- タンパク質が不足していないか? 感情や思考をコントロールする「神経伝達物質(セロトニンやドーパミンなど)」は、タンパク質から作られます。材料不足では、脳はうまく機能できません。肉、魚、卵、大豆製品など、毎食の食事にタンパク質がしっかり含まれているか確認しましょう。
- ビタミン・ミネラルは足りているか? ビタミンやミネラルは、タンパク質から神経伝達物質を作り出す際の「潤滑油」のような働きをします。特に、鉄、亜鉛、マグネシウム、ビタミンB群の不足は、ADHDの特性と関連が深いとされています。バランスの取れた食事が基本ですが、レバーや赤身肉、ほうれん草、ナッツ類などを意識的に取り入れるのも良いでしょう。
- 糖質の摂りすぎに注意する お菓子やジュース、白米、パンなどの精製された糖質を一度にたくさん摂ると、血糖値が急上昇・急降下する「血糖値スパイク」を起こします。血糖値の乱高下は、イライラや眠気、集中力の低下に直結します。おやつはナッツや小魚にする、主食は玄米や全粒粉パンを選ぶなどの工夫が有効です。
【摂取に関する注意】オメガ3脂肪酸について
オメガ3脂肪酸(青魚の油など)は、症状が悪化するケースがあります。慎重に検討するようにしてください。
3. ポジティブな関わり方(ペアレント・トレーニングの考え方)
保護者の方の関わり方は、お子さんの自己肯定感を育む上で非常に重要です。
「また散らかして!」「どうして集中できないの!」と叱りたくなってしまうこともあるかもしれません。しかし、お子さん自身も「うまくできない自分」に悩み、傷ついています。
- 「できたこと」に注目して具体的に褒める 「宿題やったの?」ではなく、「10分も机に向かえたんだね、すごいね!」と、結果だけでなく過程を認め、具体的に褒めることで、お子さんのやる気と自信に繋がります。
- 褒めるときはすぐに褒める 行動を褒めるとき、時間が経過してから褒めるよりも、行動の直後に褒める方が、よりよい行動の頻度が向上します。専門的には「即時強化」といいます。
- 行動の背景を理解する お子さんの行動の背景に「脳の特性」があることを理解すると、「わざとじゃないんだ」と保護者の方の気持ちにも余裕が生まれます。親のストレスが減ることで、家庭全体の雰囲気も穏やかになり、お子さんも安心して過ごせるようになります。
家庭でのケアと並行したい専門的アプローチ2選
家庭での工夫は非常に重要ですが、脳機能そのものに働きかけるには限界がある場合も。より根本的な改善を目指すために、家庭でのケアと並行して行いたい専門的なアプローチをご紹介します。
4. 認知行動療法(CBT) / ソーシャルスキルトレーニング(SST)
認知行動療法(CBT)は、自分の考え方のクセや感情のパターンに気づき、どうすればもっと楽に行動できるかを練習していく心理療法の一つです。
例えば、「どうせ僕には無理だ」と考えがちな子に、「本当にそうかな?少しだけやってみようか」と、別の考え方を一緒に探していきます。
また、ソーシャルスキルトレーニング(SST)は、友達との関わり方や感情の伝え方など、社会的なルールやスキルをグループワークなどを通じて具体的に学んでいくトレーニングです。
これらは、ADHDの二次的な問題(自己肯定感の低下や対人関係の悩みなど)に対して非常に有効なアプローチです。
5.【根本改善を目指す】ニューロフィードバック
家庭での環境調整や、認知行動療法/ソーシャルスキルトレーニングのような「行動の変え方」を学ぶアプローチに加え、脳機能そのものに直接働きかけることを目指すのがニューロフィードバックです。
一言でいうと、「自分の脳波の状態をリアルタイムで見ながら、脳を望ましい状態に整えるトレーニング」です。よく「脳の筋トレ」とも例えられます。
具体的なトレーニングの流れ
- 【STEP1】QEEG検査で脳の状態を可視化する まずは、QEEG(定量的脳波検査)という検査で、脳の活動状態を客観的に測定します。これにより、脳のどの部分が過剰に活動し、どの部分の活動が少ないのか、といった脳の「個性」が一目でわかります。原因が可視化されることで、的確な対策が立てられます。
- 【STEP2】一人ひとりに合ったトレーニングプランを作成する QEEGの検査結果に基づき、専門家がその子に合ったオーダーメイドのトレーニングプランを作成します。「集中力を高める」「衝動性を抑える」「リラックスする」など、目的に応じたプログラムを組みます。
- 【STEP3】ゲーム感覚で楽しくトレーニング トレーニングは、頭にセンサーをつけ、モニターを見る形で行います。例えば、脳波が集中した状態になると、モニターのロケットが速く飛んだり、綺麗な音楽が流れたりします。お子さんは、まるでゲームをしているような感覚で、無意識のうちに自分の脳を望ましい状態にコントロールする術を学んでいきます。症状によっては、テレビゲームをしていただくこともあります。
なぜ「根本改善」を目指せるのか?
薬物療法が「症状を一時的に抑える」対症療法であるのに対し、ニューロフィードバックは、トレーニングを繰り返すことで「脳自体がより好ましい状態を保つ方法を学習する」ことを目指します。
自転車の練習と同じで、一度乗れるようになれば乗り方を忘れないように、脳も一度良い状態を覚えれば、それを維持しやすくなるのです。これが、薬に頼らない根本的な改善を目指せると言われる理由です。
まとめ:「うちの子に合う方法は?」と思ったら、まずは脳の状態を知ることから
今回は、薬を使わずにADHDの特性を改善する方法を5つご紹介しました。
【家庭でできること】
1. 環境調整で刺激を減らす
2. 食事療法で脳の働きをサポートする
3. ポジティブな関わり方で自己肯定感を育む
【専門的アプローチ】
4. 認知行動療法/ソーシャルスキルトレーニングで行動のコツを学ぶ
5. ニューロフィードバックで脳機能そのものをトレーニングする
「たくさんの方法があるのは分かったけれど、結局、何がうちの子に一番合うのだろう?」
きっと、そう思われたことでしょう。その答えを見つけるための最も確実な第一歩は、専門家と一緒に「お子さんの脳の状態を客観的に知る」ことです。
なぜ集中しづらいのか、なぜ落ち着きがないのか。その原因がQEEG検査によってデータで「見える化」されれば、やみくもな対策ではなく、お子さんにとって本当に必要なサポートが何かが明確になります。
一人で悩まず、抱え込まず、まずは専門家にお話をお聞かせください。
お子さんの特性を正しく理解し、その子に合った最適なプランを一緒に見つけていきましょう。
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