QEEGの結果が怪しいと感じてしまう理由
QEEG(定量的脳波測定)は、頭皮に19個以上のセンサーを配置し、同時に脳波を測定し健常者のデータベースと比較するものですが、QEEGの結果が怪しいと感じてしまうことがあるかと思います。
どうしてQEEGの結果を怪しいと思ってしまうのか。
本当に信じていいのか。
ニューロフィードバックの専門家であるワタナベアリミチがわかりやすくお伝えさせていただきます。
目次
QEEGの結果が信用できなくなる原因
QEEGの結果が信用できなくなる最大の原因は「正確に脳波を測定できていない」です。
正しい測定ができていないのであれば、インプットが間違っているのですから、結果も間違ったものになってしまいます。
脳波を測定するのは難しい
脳波はとても微弱な電気信号であることをご存じでしょうか。
微弱だからこそ、簡単に脳波以外の電気信号が混入してしまうのです。
最近はあまり見かけなくなりましたが、乾電池の電圧は1.5Vです。
脳波は電圧の変動(波)であり、健康な方なら20~30マイクロボルト程度、0.00002ボルトしかありません。
もちろん、脳波は波なので、乾電池のように波のない直流ではないので単純比較はできませんが、体を動かすなどちょっとしたことで正しくない脳波になってしまいます。
なお、脳波の振幅が20~30マイクロボルト程度になるのは、リンクイヤという方法でピークツーピーク(peak-to-peak)の場合です。トランスバースなどにすると、脳波の振幅はもっと小さくなります。
髪の毛や頭皮の汚れ邪魔になる
脳波を測定するとき、センサーを頭皮に接触させますが、髪の毛や頭皮に汚れがあるとセンサーと頭皮との間のインピーダンスが大きくなってしまい、正確な値を測定できなくなってしまいます。
電気のお話になってしまいますが、すこしお付き合いください。
インピーダンスとは、交流の電気の流れやすさを示す値です。直流の場合は抵抗といいます。
脳波は電圧ですので、電圧計にあたる作動増幅器のインピーダンスを非常に高くし、頭皮とセンサーのインピーダンスを可能な限り小さくすることで、正しい値を測定できるようになります。
正しいQEEGの結果を得たいのなら、センサーと頭皮との間のインピーダンスを可能な限り低くすることだけ覚えておいてください。
話を戻しましょう。
実際に臨床研究では、正確な脳波が測定できるように、髪の毛を剃ることもあります。
また、臨床研究の論文を読みますと、センサーと頭皮との間のインピーダンスを5000オーム以下(5kオーム以下)にしている場合が多いです。
雑音が入りやすい
QEEGに限らず脳波を測定するとき、一番問題になるのが電磁波による雑音です。
簡単にいうと100Vの電気、コンセントや蛍光灯、パソコン、モニター、充電中の携帯電話などがあると、測定中に電磁波が脳波に混入してしまいます。
通常、ノッチフィルターというフィルターで電磁波をデジタル的に除去しますが、残ってしまう場合もあります。
雑音まみれの脳波データを正しいとして処理してしまったQEEGの結果は、間違っている可能性が非常に高くなります。
雑音が多い状態で測定したQEEGの結果は怪しいとお感じになるのは当然のことです。
当施設の場合、可能な限り電源をオフにし、QEEG測定時に使用するパソコンもバッテリー駆動にしたり、アースをとったり様々な電磁波対策をしています。
ドライ電極とウェット電極の違い
QEEGではドライ電極と、ゲルや食塩水などの電解質を使用するウェット電極の2種類の方法があります。
一般的に、ドライ電極は受ける側の負担が少ないのですが、雑音に弱く、測定した脳波を補正しています。
一方、ウェット電極は雑音に強く、安定して脳波を測定できるため、脳波を補正する必要はありません。
しかし、ウェット電極は髪の毛が濡れてしまうなど、受ける方に負担が発生してしまいます。
少しでも正しいQEEGの結果を得たいのなら、ウェット電極が好ましいです。
ほんの少し体を動かしただけでout!
何度も申し上げていますが、脳波は非常に繊細です。
目のまばたき、首をほんの少し動かす、手を握る、口を動かす、舌を動かすなど、ほんの少しでも体を動かしてしまうと、脳波が乱れてしまいます。
筋肉が動いてしまうと、大きな電気が発生するため、脳波が負けてしまうといっても過言ではありません。
当施設でQEEGを実施しようとした際、落ち着くことができず、実施できなかった事例も存在します。
心電の影響もある
健康診断で心電図をとった経験があるかと思います。
心電も脳波も同じ電気ですが、圧倒的に心電の方が大きいため、体を通して心電が頭部に伝わり、脳波に心電が混ざってしまうことも多々あります。
心電が脳波に混入しやすいのは、体格の大きい方が多いのですが、心臓の向きで変わってきますので、個人差があります。
眠いと眠い脳波になる
有名な話なので、どこかで聞いたことがあるかもしれません。
ヒトは起きているときと寝ているときでは、脳波の状況が変化し、深い睡眠になるとゆっくりとした波であるデルタ波の振幅が大きくなります。
一方、眠気を我慢すると、ベータ波やガンマ波という早い波の振幅が大きくなります。
眠気のある状態と眠気のない状態では、脳波が大きく変化しますので、QEEGの結果も変わってきます。
QEEGで使用するデータベースは眠気のない状態となっていますので、QEEGをとるときは眠気のない状態でとる必要があります。
QEEGをとったとき、眠いと感じていたのなら、結果を信用しないようにしてください。なお、一部は信用できます。
雑音などは除去し平均で算出するQEEG
QEEGの結果を出す前に、雑音が入った部分を除去し、正しいと考えられる部分のみの平均でデータベースと比較するのがQEEGです。
一瞬、問題のある脳波が発生したとしても、基本的に無視されます。
QEEGの結果だけを正しいと考えて解釈してしまうと、間違った結果を得てしまいます。
QEEGの結果が怪しいと感じてしまう原因のひとつです。
QEEGの結果はすべてを伝えていない
私はBCIA(Biofeedback Certification International Alliance)によるBCN(Board Certified in Neurofeedback)という認定を受けているのですが、「qEEG の確かな事実 - qEEG が必ずしもすべてを伝えられるとは限らない理由(The Yeah Buts of qEEG - Why the qEEG Doesn't Always Tell the Full Story)」というBCN向け(専門家向け)の講座があります。
QEEGの結果を信じるのは自由ですが、時と場合によって信頼性のない結果となっていることもありますので、十分注意するようにしましょう。
QEEGの結果を少しでも信用できるようにするには
まず、QEEGを受ける前に、頭皮、髪の毛を綺麗に洗うことが大切です。
髪の毛に整髪料や油などがあると、正しい脳波とならない可能性が高くなりますので、キレイにしたら、何もつけないようにしましょう。
さらに、額の部分にもセンサーをつけますので、メイクだけではなく日焼け止めをはじめ、乳液、化粧水などを額にするのはNGです。
もちろん、睡眠不足でQEEGを取得すると睡眠不足の結果が出るだけですので、しっかりと寝るようにしましょう。
さらに、満腹状態、空腹状態、いずれも避けた方が好ましいです。
QEEGを受ける方の意識も大切なポイントです。
当施設でのQEEG
当施設では毎回「本当の脳波を測定できているか」をしっかりと確認し、出張でQEEGを行う際には、電磁波対策なども実施しています。
しかし、様々な対策を講じても、脳波をきちんと測定できないこともあります。
問題が発生した場合には、QEEGを辞めてニューロフィードバックを実施するなど柔軟に対応しています。
また、QEEGを取得する際、クライアント様にもご協力していただく必要がありますので、事前に面談(初回面談)の機会を設けております。
QEEGを取得されたい方は、まずは予約システムを使って、初回面談にお申込みください。
なお、既に当施設に通われている方は、初回面談の必要はありませんので、QEEGのご予約をお取りください。