投稿日:2019/10/05

トラウマとは

80%
心理学
この記事は約 7 分で読めます。

トラウマとは、心的外傷、精神的外傷ともいわれ、恐怖感や何もできなかったという無力感などを感じた体験により心に受けた傷のことです。

トラウマになるような体験のことをトラウマ体験といいます。

トラウマ体験は珍しいことではありません。震災や虐待だけではなく普段の何気ない生活の中にもトラウマ体験は存在します。

18歳までにトラウマ体験する確率は8割

欧米諸国の報告によると、18歳までにトラウマを体験する比率は20〜80%。16歳までに約7割がトラウマを体験するという報告もあります。

日本では自然災害が多いこともあり、80%がトラウマ体験をしているとの報告があります。

トラウマが与える影響(身体面)

写真

トラウマ体験により下記の症状が出やすくなるといわれています。

  • 過敏性大腸炎
  • 月経前症候群(PMS)
  • 心因性発熱
  • 自律神経失調症
  • アトピー性皮膚炎(トラウマそのものは原因ではありませんが、トラウマが引き金になった例が報告されています)
  • アレルギー性鼻炎(トラウマそのものは原因ではありませんが、トラウマが引き金になった例が報告されています)

その他、心因性による病気になりやすいといわれています。

トラウマが与える影響(精神面)

  • 安心感が無くなる(不安を感じやすくなる)
  • 感情が調整しにくくなる(感情起伏が激しくなる。感情が麻痺することも)
  • ストレスに弱くなる(軽いストレスだけで寝込んでしまう)
  • 言葉や出来事の意味を曲げて捉えて(解釈して)しまう
  • 自尊心の低下(信頼関係が作れなくなり人間関係が難しくなる)
  • 自分を責めてしまう
  • 無力感・意欲の低下

トラウマが与える影響(行動面)

  • 緊張しなくても良い場面で緊張してしまう
  • 注意力が散漫になる
  • イライラしやすくなる
  • 突然怒り出す
  • 暴力をふるってしまう
  • 自傷行為や自殺を考える
  • 薬物に手を染める
  • 反社会的行動をしてしまう

トラウマによる病気(PTSD)

トラウマが原因となる病気にPTSD(心的外傷後ストレス障害)があります。

同じトラウマを体験しても、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になるかどうかは、個人差があります。

私の古い友人に傭兵をされている方がいました。彼女はペルシャ湾やイラクなどで傭兵のお仕事をしましたが、彼女と同じ仕事をしていた仲間は仕事後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されましたが、彼女自身はPTSD(心的外傷後ストレス障害)になりませんでした。

なお、トラウマになるような出来事を体験してから4週間以内の場合には「急性ストレス障害Acute Stress Disorder: ASD」とされます。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)やASD(急性ストレス障害)は下記の症状が現れます。

再体験

自分の意思とは関係なく、トラウマ体験を思い出したり(フラッシュバック)や夢を見たりしてしまう。

子供の場合は、トラウマ体験を表現する遊びを繰り返したり、はっきりしない恐ろしい夢を見たりします。

回避

トラウマを体験した場所に行かないなど、トラウマ体験を思い出すような状況や場面を避けます。

過覚醒

不眠・イライラ・怒りっぽいなどの興奮状態が続きます。

トラウマによる病気(解離性障害)

トラウマ体験から自分を守るために、自分の中に他の自分を作ってしまうのが解離性障害です。

過去の出来事が記憶から抜け落ちていたり、カプセルの中にいるような感じだったりと様々な症状があります。

多重人格障害・解離性同一性障害

複数の人格が交代で現れます。別の人格が出現している間は記憶がない場合が多く見られ、生活に支障をきたしてしまいます。

解離性健忘

トラウマ体験のようなストレスをきっかけに、出来事の記憶が無くなります。

解離性とん走

自分が誰かという感覚(アイデンティティ)が失われ、失踪などの症状を示します。

カタレプシー

体が硬く動かなくなります。

解離性昏迷

体を動かしたり言葉を交わしたりできなくなります。

離人症

自分が自分であるという感覚が無くなり、自分を外から眺めているような感覚になります。

解離性てんかん

心理的な要因で昏睡状態になったり、体が思うように動かせなくなったり、感覚を失ったりします。

他にも、ヒステリー性運動失調症、ヒステリー性失声症、解離性運動障害、失立、心因性失声、心因性振戦、解離性痙攣、憤怒痙攣、解離性感覚障害、心因性難聴、神経性眼精疲労、ガンサー症候群、亜急性錯乱状態、急性精神錯乱、心因性もうろう状態、心因性錯乱、多重人格障害、反応性錯乱、非アルコール性亜急性錯乱状態などがあります。

解離性障害に有効なお薬はないといわれています。

トラウマによる病気(その他)

PTSD(心的外傷後ストレス障害)やASD(急性ストレス障害)、解離性障害の他に、気分障害(パニック障害・不安障害)や、アルコールや物質乱用・依存、注意欠如/多動性障害(ADHD)、反抗挑戦性障害、素行障害、摂食障害、学習障害、不登校、ひきこもりなどをトラウマは引き起こすことがあります。

ご自身で症状に気がついていないこともありますので、自己判断はせず、必ず医師の診察を受けるようにしてください。

セルフケア・家族でできるトラウマへの対処法

リラックス

安全な日常生活にしましょう

トラウマへの対処で最も重要なのが、安全な日常生活を送り安心することです。

ゆっくり呼吸をしたり、体の緊張をほぐしたりして、リラックスしましょう。

体をトントンと優しくたたいたり、さすってあげたりするのも良いでしょう。

そばに寄り添って過ごすだけで、安心を感じやすくなるでしょう。

話をじっくりとしましょう

無理に話をさせるのは禁物ですが、話したいときには耳を傾け、気持ちを受け止めてあげましょう。

トラウマ体験でなくても、悲しみ、怒り、不安を感じることは普通のことです。「誰でも感じることだよ」と優しく伝えてあげましょう。

「自分が悪い」というような表現が出てきたら、優しく否定してあげてください。

社会とつながりを持ちましょう

無理に活動する必要はありませんが、一人でいると塞ぎ込んでしまうので、無理のない範囲で友達と遊んだり、スポーツをしたりするなど、社会とつながりを持ちましょう。

特に、周囲からほめられ、貢献しているという気持ちを持つと回復に役立ちます。

規則正しい生活をしましょう

トラウマ体験はときに不規則な生活を強いられます。

できるだけ規則正しい生活をしましょう。

自分だけ・家族だけで悩まずに、相談してみよう

相談

自分だけ、家族だけ、仲間だけで悩んでいても、トラウマは解決しません。

どうしてでしょうか?

縮退し自力では戻れなくなるからです。

統計力学的にいえば、何かを放置しておくだけで、ブラックホールに飲み込まれ潰れていくかのように、次第に狭まった形に縮退します。最終的に縮退均衡という状態になり、自力では元に戻れなくなるのです。

また、数十年前の日本で「会議が多過ぎる、会議は効率化が大事だ」といったことが盛んに叫ばれました。しかし、難題にぶつかったとき、効率化では乗り越えることができませんでした。

三人寄れば文殊の知恵というように、難題にぶつかったときは、みんなで話あう必要があったのです。

だからこそ、相談してみてください。

どうしても話したくないのであれば、言葉を使わない心理療法でもあるニューロフィードバックをおすすめします。

ニューロフィードバックはPTSDにも効果があるとされ、実際にトラウマが軽減され楽になっている方が大勢いらっしゃいます。

ぜひ、お気軽にご予約ください。

この記事を書いた人

東京 御茶ノ水駅 徒歩1分 ニューロフィードバックとQEEG専門施設
心理学
初回面談
ご予約は
こちら
ページ上部へ